ピラカンサの実を食べてみた
先日、赤信号で停車中の数十秒間で、9粒のピラカンサの実を呑みこむヒヨドリを見ました。
ピラカンサは鳥があまり好まないって書いてあるのを読んだことがあったので意外でした。
それに、毒あるんじゃなかったっけ?
ものの本によると「ピラカンサ」と一般的に呼ばれている木は日本には3種類あり、すべて外来種。
もっとも一般的なのはトキワサンザシ(Pyracantha coccinea)。真っ赤な実。
上の写真はまさに僕がヒヨドリが食べているのを目撃したピラカンサ。
橙色しているので多分中国原産のタチバナモドキ(P. angustifolia)。
これら以外にカザンデマリ(P. crenulata)ってのがあるらしい。
でもまあどんな木だって、繁殖のために実をつけるんだろうし、鳥が実を食べるのは当たり前といえば当たり前か。
しかしちょっと調べてみると、
これは毒草です。青酸系の毒を含み食べると激しい嘔吐と呼吸困難をおこします
などと出てる場合もあり。おーこわ。
・・・じゃあなんでヒヨドリは食べてるの? 腹ん中に解毒酵素でも持ってるのか??
いや、毒があるなんてのはズル賢い大人たちの大ウソで、
僕ら子供たちからおいしいおやつを食べられないようにするための策略なのではなかろうか。
もしかして、美味いのか?
よーでもない好奇心がふつふつと湧き上がってくるのを抑え切れません。
ヒヨがあれほどおいしそうに食べてるんだから、人間が食べたって不味かろうはずはない。
ましてや毒なんてあろうはずもない・・・。
いやまてよ、イチイの実なんて果肉部分はおいしいがタネは毒があるから吐き出せ、なんて聞いたことあるぞ。
悶々・・・。
・・・で、ちゃんと調べてみた。
ピラカンサの実を食べた、という報告は広大なインターネット上にもあんまり転がってないようです。
その中からいくつかをアットランダムに。
- 試しに食べてみると、味はリンゴのようで悪くはないが、種子と皮と萼片ばかりが口に残る
- まずくない。苦くも渋くもない。食べ頃を過ぎたリンゴのようなスカスカな感じだが、ほのかに甘い
- よく熟したものを選び、噛んでみましたところ、ほのかな甘さが口に穏やかに拡がりました。それと共に少し渋味も感じました
- 家内は、ピラカンサの実を食べた。「かすかに甘酸っぱい」「まんざらでもない」「カキをあっさりした感触である」「ただし食べるところはあまりない。種が大きいので」ということであった
・・・等々。なんだ、やっぱり食えるのか。ただし、そんなに美味いもんでもなさそう。
中にはこんな感想も。
赤い実をかじって見ました。これはまずい。渋くてとても食べられませんでした
・・・なんだ、不味いの? 人によって感じ方が違うのか?
そしてこれがピラカンサの味に関する一番強烈な記事。
柿に通ずる甘さと渋さが同時に来た。苦味はない。と、その後で、何とも嫌な味が来た。僕は思わずツバを吐き出した。1分ぐらい経っただろうか。舌の実に触れた部分に刺激を感じてきたのだ。それがだんだんと強くなっていった。それと同時に口の中のマズさが、ますますひどくなっていった。さらに追い討ちをかけるように、ムカツキまでが襲ってきたのだ。マズイ味を忘れるのに丸1日、刺激を忘れるのに3日もかかってしまった
(『楽勝!? パパのお手軽ガーデニング♪』より 2006年12月2日)
・・・マジか(タラッ。 拙速に口に入れなくってよかった。
かつて若かりしころ、野生の「クワズイモ」をそうと知らずにぺろりと舐めただけで
丸二日くらい何も食えないほどもんどりうった経験を思い出しました。
植物、侮りがたし。
「美味くもないが別段食えないというほどでもない」
「いや、渋くってとても食えたもんじゃない」
「いやいや、不味いなんてもんじゃない、ありゃ間違いなく毒あるぞ」
・・・色んな情報が集まってまいりました。
ほんとのところ、どうなんでしょうか。
本やネット上でピラカンサ(あるいは日本名の「トキワサンザシ」)で実の毒性を調べてみたものの、
はっきりしたことは分かりません。
ある人は「食えなくはないが美味くはない」、また別のサイトは「毒があるので食わないにこしたことはない」。
仕方ないので、この際食ってみることにした。
最悪でも2~3日嫌な思いをするくらいで済むんなら、なんでもないだろう、きっと。うん。
もぐもぐ。・・・ん? パサパサでスカスカなカキ(柿)か?
いや、こっちのはリンゴの味。
不味くないじゃん、ぜんぜん。しぶくもない。
上に引用した人の中でいちばん近いのは「食べごろを過ぎたリンゴ」。
たらふく食べたいってほど美味しくはないけど、吐き出すほど不味くもない。
実の中身。スカスカさかげんが分かりますか?
じゃあ、渋くて毒があるって情報はどこから来たんだろう?
ちょっと、ピラカンサの実の毒性についてちゃんと解説してくれてる専門的なページはないもんか?
これが、意外に少ない。
仕方ないので専門的でないページでいくつか拾えたのを羅列すると。
赤い実のうちでいちばん後まで残っているのは何か? ピラカンサですね。要するに、ピラカンサはいちばん不味いのです。だからいちばん後まで残っているのです。どんなに不味いかと訊かれても私も食べたことがないから判りませんが、きっとよっぽど不味いのでしょうね。我々の食材の中にも、毒ではなく栄養もあるけれど不味くて厭だというものがあるでしょう。現に、冬になって小鳥の食料が底を突くようになると、ピラカンサはいつの間にか姿を消してしまいます。だからちゃんと食べられるのは確かなので、小鳥にも生意気なことに味覚が備わっているのですね。私が食糧難の時代に米が底を突くと、ため息をつきながら芋を食べていたようなものでしょうか
(『横丁のご隠居をめざす作家 宮原昭夫 公式サイト』より)
・・・不味いけど他に食い物がないんでしかたなく食う説。
次に、やっぱり毒あるよ説。
鳥は、食べ物がなくなって、この実を食べるとしても、少しずつ少しずつだ。いっぺんに食べると青酸配糖体を含んでいるため中毒してしまうからだ。ピラカンサ側からすると、少しずつ鳥に食べてもらうことで、種子をあちこちに分散して運んでもらいたいわけだ(逆に、美味しい実は、一斉に赤くならずに、時間差をもって熟していくようだ)
時間が経つにつれて、毒性が薄くなる! 2月下旬ともなると毒はあらかた消えてしまうのだ。それを鳥たちは知っていて、ようやく今頃から食べ始めたということなのだ
(『大文字山を食べる』より 2010年2月23日)未熟な実には、毒が含まれてるので、鳥が食べることはないようです。梅の未熟果と同じような毒性だとか。未熟なうちに食べられてしまっては、子孫を残せません。ピラカンサの知恵なのです。完熟した実は無毒になるので、地元の鳥は無毒になるまで待っているのです。但し、園芸種のピラカンサは、自然界と違って果実が赤くなってもなかなか毒性が抜けない種もあるそうです
(『庭に咲く花・・・季節が感じられれば良し』より)
・・・むむっ。よく読むと、この中にも2つの立場があるようです。
① ピラカンサの実は毒があり不味いので、鳥はちょっとずつしか食べない。その結果、タネが少しずつ広範囲にばら撒かれることになり、繁殖に有利。
② ピラカンサの実は未熟なうちは毒があるために鳥が食わない。完熟した実が無毒になる2月ころ、鳥たちも食べはじめ、繁殖に貢献する。
そういえば、上に引用した中でいちばん強烈だった『楽勝!? パパのお手軽ガーデニング♪』の記事の日付は12月2日。
僕が食べてみたちょうど二ヶ月前です。
おそらく、そのころはまだ実が熟していなかったのでしょう。
来年のその時期、もし覚えていたら試しに食べてみようか。
もしかしたら丸一日もんどりうつことになるかもしれませんね。
こんなふうに記事を打ち込んでいるうちに、なんとなく頭がぼうっとしてきました。
毒がまわってきたのかな(嘘
ではでは、またまた
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コメント
Fuさん
チャレンジャーですなあ!
青梅も青酸性の毒があるから食べないこと!と言われてますが、
一度その香りに負けて一個かじりました。
何事もなかったです。
一個だからだったのでしょうね。
ところで畑にヒヨ・ムクドリがちょくちょく来るようになりました。
これから3月にかけて、残ってる菜っ葉を食べにくるようです。
2月下旬から3月って食べ物がないんでしょうかしらん?
餌台のりんごはちょびちょびっとしか食べないのになあ…。
投稿: ほんたべ | 2012年2月 7日 (火) 13:31
ほんたべさん
思うに鳥って(鳥に限らず他の動物も昆虫もですけど)ヒトが思うほど単純バカじゃないかも、ですね。
食べ物が目の前にありさえあれば何でもついばむってわけじゃなくって、
彼らなりの選択、というか、もしかしたら美意識さえ持ってるのかもなーなどと思ったり。
人の予想や期待を軽々と超えていきますね、野生の生き物は。だから面白い。
>一度その香りに負けて一個かじりました
銀杏食べ過ぎるなってのと同じで、ちょっとなら大丈夫なんでしょうかね。銀杏だって青酸ですよね、確か。
今回のピラカンサもたらふく食べたら眩暈・嘔吐なんてことになってたのかなあ・・・。
ではでは
投稿: Fu | 2012年2月 7日 (火) 21:40